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映画撮影の歴史について触れる前に、日本の映画の系譜は世界のそれとはかなり異なることをお伝えする必要があります。邦画作品では、時代劇と現代劇に分けられます。もちろん、更に細かいジャンル(少女漫画、アニメ、ホラーなど)にも分類できるのですが、一昔前の時代に関してはこれが第一の区分となっていました。

邦画作品の”黄金時代”というと、映画史上においては2つの時代が考えられますが、今回の場合は1950年代のことを指しています。1950年代は、邦画の生産が最も盛んだった時代であり、名作が多く誕生した時代だった、と多くの人が口を揃えて絶賛するほどです。この時代に、日本で制作された映画が国際市場や国際映画祭に進出し、正統派の日本人作家たちが国内および海外で人気を博しました。しかし、この時代をよりよく理解するためには、歴史的な背景を少し知る必要があります。

第二次世界大戦中、映画は検閲の対象であり、プロパガンダのツールとなっていました。日本が世界大戦降伏後、連合国側は映画産業の復興を目指しましたが、禁止テーマを設けるなどの条件付きでした。アメリカの影響で、それまで強力だった日本映画業界でのヒエラルキーは弱体化し、新しい人材(黒澤監督、木下監督、市川監督などの巨匠)が登場しました。ほかにも、成瀬巳喜男や五所平之助といった注目の監督を輩出しました。